私はミスを隠す看護師でした

道庭アキコ(32歳・神奈川)

私は新人時代、落ちこぼれだった。
ダメ看護師として周りに評価されていた。
自分でもサイテーな人間だと思っていた。

ミスを隠すような看護師だったから。

今でこそ主任を務めるようになったが、あの頃は全てがうまく行かなかった。

でも当時を振り返ると「私の思考」が仕事の邪魔をしていたように思う。
その思考は、劣悪な職場が作り出した悪の副産物だった。

そのあたりを書いてみたいと思う。
仕事で悩む、新人看護師の方々に見てもらえれば。

壊れかけていた新人時代

私の看護師1年目の目標は「いかにして怒られずに過ごすか」だった。

入職した病棟で理不尽に怒られる毎日だった。
「勝手にやるな!」と怒鳴られ、「そのくらい自分で考えろ!」と呆れられ。
どうしていいのか分からなくなっていた。

結局私は怒られないよう細心の注意を払って、働いているフリをすることになった。
何事も怒られないが最優先。

周りの同期も同じように委縮していた。
思い返せば、看護実習時代からそうだった気もする。

それが働きだしてからさらに悪化した感じ。
主任やプリは、新人を叱るのが仕事だと思っている。
「何をやったか、どんな成果を出したか?」ではなく、「シッカリ言いつけを守ったか?」を重視しているような人たちだった。

結果として何をするにも臆病になっていた。
ミスをした時は「いかにして隠すか?」を真っ先に考えるようになっていた。
たぶん同期達も同じで、嘘の報告をしているのをよく見かけた。

1年後。
新卒の子達が入ってきた。
みんなすぐに委縮した。

彼女たちが理不尽に怒られているのを見て「ここにいてはいけない」と思うようになった。
仕事に少しだけ慣れ、客観的に見られるようになり、職場の劣悪さが理解できた。

20人近くいた同期は、1年で半分近く退職していた。

「アンタも早くやめた方がいいよ。外に出たらわかるけどあの病院普通じゃないって」

辞めていった同期の言葉が後押しになった。

こうして私は普通の病院に転職し、普通の看護師なることができた。
多分あのまま働いていたら、壊れていたと思う。
普通に働けない看護師になっていたと思う。

若い時期だからこそ職場を選ぶべき

看護はプレッシャーと向き合う覚悟がいる。

だからここ「場」が大切だと思う。
もちろんミスをしたら叱られるものだと思う。
でもそれが過剰になってはいけない。

ミスをしても守ってもらえる。
ここなら大丈夫。

そうした安心感があるからこそ、人は失敗をバネに成長できる。

誰だって叱られたくない。
でも失敗して、その原因を見つけて、改善していくからこそ、一人前の看護師になっていく。
それを支えるのが上司の役目であり、先輩の役目である。

ミスを隠す職場は、成長しない職場である。
小さなミスを隠し続け、いずれ大きなミスが発覚する。
それで看護師を辞めた子もいた。

人生が狂う前に、軌道修正したほうがいい。
看護師であれば、1年目や2年目であっても、転職しやすい。

もちろんどこの職場にも理不尽に怒る人はいる。
でもそれと同じくらい、守ってくれる人がいる。

そのバランスが崩れた職場は、ミスを隠す看護師を量産してしまう。

あなたの職場はどうだろうか?

もしあなたがミスを隠すタイプなら、どうかすぐに転職してほしい。
ミスを隠すのは、個人の資質よりも、環境によるところが大きいから。

「失敗の科学」という有名な本にはこう書かれていた。

「優れている人ほど多くの間違いをおかしている」
「間違いを正しく修正する文化がある」

若い人ほど、こうした職場で働いてほしい。
切実にそう思う・・・